候鸟北归原名:北帰行より 渡り鳥北へ帰る,又名The Rambler Goes North
ギターと親友浩一の遺骨を抱えた渡り鳥の伸次が、函館に着いた。浩一の故郷がこの港町なのだ。二人は東京のナイトクラブの楽団員だが、麻薬中毒の浩一は何者かに殺されたのである。浩一の実家である岡野造船所を訪ねた伸次に、父の治五郎が剣もホロロだったのは、造船所の経営が思わしくないからだ。妹の由美だけは伸次に好意をもち、兄は幸江という女と結婚していると告げた。伸次はキャバレ・ロキシーに出かけて幸江を指名したが、ボスの黒川はその伸次をただの流れ者でないと見破った。事実、伸次が探しているのは浩一を殺した男だ。右手にサポータをはめた政としか判っていない。翌日、函館に着いたとき自動車事故でケガをした良太坊やを病院に見舞った伸次は、その母が幸江と知って驚いた。そのころ、黒川のもとに漢栄昌の使いと称するハジキの政が流れ着いた。黒川は五百万円の抵当に岡野造船所を乗ッとり、倉庫...