地獄の顔
順三は船員上りのならず者で、上海の魔屈を根城に蘇州の鉄を弟分として悪事を働いていたが、傷を受け危いところを栗原先生に救われてから、ぷっつり足を洗う。栗原は順三を長崎へ連れ帰り育児院「希望の家」で子供たちの世話をさせる。栗原の温情と保母みち子の純情によって、彼は更生の一途を辿った。ところがいつか長崎へ舞い戻った蘇州の鉄は、是が非でも順三を**密輸の仲間に加えようとして、あらゆる陥井を設け、ついに彼をのっぴきならない世界に追い込んでしまう。ところが自暴自棄の彼に鉄の女房お浜が好意を示したことが原因となり、順三は嫉妬の鉄に撃たれる。そしてそこへ呼ばれた老医師は、先頃順三が上海に売り飛ばすために誘拐した娘の父親貝塚であった。貝塚は順三が想像した通り憤然として手当をせずに去ろうとするが、折から教会から流れてくる鐘の音に思わず憎しみを越えた愛情をよみがえらせ、順...