悪名一番
年の瀬も押しつまった頃朝吉と清次のもとに、お照が店の朋輩のもめごとを、もちこんできた。大衆の零細な資金を集めて、町の金融業を営む大黒金融の不良社員が、預金を持ちにげ、支払不能に陥ったというのだ。話を聞いた朝吉と清次は、大阪支社にのりこみ、気の毒な預金者の依頼を引受け、東京本社に善後策をかけあうため、持逃げ犯人の大野平助を追ってトラックで東上した。平助の姉の妙子を訪ねた朝吉、清次の二人は、四国で名前をかたっていた偽せ者の一郎と二郎に再会した。朝吉と清次は早速大黒金融の本社へ乗りこんだが、社長の郡は、彼等に会おうとしなかった。接待に出て来た美貌秘書圭子に、くいさがった朝吉は、豪華なナイトクラブで郡を発見した。関東の顔役工藤らのいならぶ中、田舎者の朝吉は、その嘲笑に耐えた。一方清次は、上野でおぎんに会い工藤組にもぐりこんだ。しかもそこで、監禁されている平助...