続この世の花 第七部 別れの夜道
衰弱した由美は信州の高原療養所に入った。訪れた盲目の有川にも彼女は病状をひたかくしにかくした。その療養所と大島の病院を往復する池田医師は久美子に結婚を申込んだが、彼女の心に今なもお有川のあるのを知り大島を去った。池田は偶然由美の診療にあたり、その病勢の悪化に驚ろいた。幼な子を抱えて生活する有川に幼稚園の先生千代子の手が差しのべられた。有川の眼帯は取られたがその頃由美は有川と子供の名を呼びながら死んだ。呆然とする有川に池田は大島の看護婦が久美子であったことを知らせた。また由美の臨終に居合せた親友田宮の口から由美が最後に、久美子さんと一緒になって、といって死んだことをきかされた。有川は大島に行く決心をしたが、仕事のために延期した。久美子は大島に来た池田の口から由美の死を知らされ愕然として有川の家を訪れた。由美の母お信は、折から居合せた千代子と有川を結婚さ...