四谷怪談
製薬会社の研究員である伊橋浩一郎は、その妻・陽子(小学校教員)の父である四谷と共に新薬の開発をしていた。そんなある夜、研究中に突然四谷が昏倒する。激しい雨の中、四谷を病院へと運ぶために急ぎ車を走らせた伊橋は、人を撥ねてしまった。そして、義父を救うためにと、その場から逃げてしまうのだった。その夜から、人生の歯車が狂い始める伊橋。 「あの日、ひどい雨でしたね…」ひき逃げ殺人をした伊橋を強請る香川という男の出現。無邪気に近づいてくる製薬会社会長の孫・美奈は伊橋に好意を持っているようだ。美奈と共に研究を続ける伊橋だったが、図らずも完成したのは恐ろしい毒だった。 一方、仕事と四谷の介護に疲れ、精神のバランスを崩していく陽子。更に、かつて四谷と共同開発した新薬で人が死に、会社を追われることとなる伊橋。狂った歯車は、もう止められない。絶望と混乱の中、伊橋は新たな罪...