素晴らしき十九才
学生バンド・シックスロビンスの一行が、オープンカーで信州の高原を飛ばして行く。運転しているのは、ペットの克彦だ。牛車を追い抜きながら、牛を追っている少女みどりをからかった。途端に凹地にはまって車はスリップ、逆に牛車に助けられる始末だった。町の公会堂で、彼らの演奏会が開かれた。が、演奏なかばにヤクザにかきまわされ目茶苦茶になった。興行師がヤクザと打合せしてやったことで、ギャラを支払わないための手段だった。ヤクザの仲間だったみどりの兄浩志は、そんなヤクザ稼業に愛想をつかし、克彦らを救った。--登校したバンドの連中の所へ、マネージャー格の真紀がやって来て、新しい契約をとったと知らせた。新宿のジャズ喫茶で一週三回の出演である。その喫茶店のステージ近くの席で、いつもバンドを見つめている中年の女性がいた。西条薫といった。克彦の父、有松鉱業社長の栄造の内妻だった。...