夜明けのランナー
倉本英二は家を切り盛りしている兄がガンで倒れたため、故郷金沢に帰ることになった。東京最後の夜、英二は親友・工藤が馴染みのスナック「エデン」で開いてくれた送別会の席に着く。工藤は陽気に英二を励まそうとするが、英二の沈みがちな顔を見て踏ん切りをつけろと英二のかつての恋人・真沙未に電話した。電話で別れを告げる英二。英二と真沙未の出逢いはサッカーだった。実業団リーグの有望選手であった英二を同じ会社に勤める真沙未が応援に来たことから交際が始まり、間もなく同棲に入った。結婚を望む真沙未を愛しながらも、英二はサッカーに燃えて不安定の中でこそ馴れ合いでない愛があると信じていた。ある日、ドライブの途中で真沙未の妊娠を知らされた英二は、動揺してハンドルをきりそこね事故を起こしてしまう。彼は足を傷つけ二度とサッカーができなくなり、真砂未は流産して二人の仲は終った。その後、...